稚児最後の晴れ舞台と支えた母たち
7月17日、神域に入る道を開く「注連縄切り」の大役で始まる山鉾巡行では、金襴の振袖に紋織りの袴、鳳凰の天冠で登場した長刀鉾稚児。禿とともに、鉾の中央で稚児舞を披露し、洛中を楽しませた。
長刀鉾が新町御池に到着し、稚児、禿が降りる階段が架けられた。鉾は新町を下り帰り囃子にのって鉾町に戻るが、いわゆる神事としての巡行はここで終了となる。
鉾の正面に大きな階段がかけられ、まず2人の禿が先におりる。下側で付き添いがいるものの自分で降りる。
そして、強力が階段を上がり、稚児を受ける。鉾の外の中空を半回転する。
態勢が整い、少し見栄を切るように披露。斜角45度の急な階段で強力も稚児も緊張の面もち。
強力の手に力が入いる。2階の屋根高から強力の肩ながら不安定な偏のりで下を見下ろすのは怖かろう。
強力の肩に乗り、集まった観衆の喝采を浴びながら御池通を西へと向かう。
三条の又旅社、神泉苑の方角なので別行動で神幸祭、還幸祭にまつわる神事があるようにも見えたが、稚児達は八坂神社へと向かうのだ。
主だったものだけでも、約1ヶ月間に連日、結納の儀、理髪の儀、お千度の儀、乗馬練習、稚児舞稽古、吉符入の儀、曳初の儀などをこなして来た稚児。
最も大事なお役目、注連縄切り、巡行を無事果たした。
八坂神社では位を返す「お位返しの儀」が行われ、稚児と禿は再び普通の少年に戻ることになる。