時刻は午後4時半です。
触れ太鼓が叩かれ、石段下から四条通を西にお迎え提灯は進みました。
祇園萬燈会と記された赤い提灯二基、直後に紫色に白で抜かれた神紋入りの幟旗が、その背後には、竿先に御幣をつけ、「おむかえ」と大書された大きな提灯が朱の西門を背に、晴天の空を担ぎ挙げるかのようにして迫ってきました。
涼やかな祇園囃子に先導されて続くのは、幼子ばかりの提灯行列です。
純真無垢な少年少女のお迎えとなれば、如何なる悪霊もたじたじで、御霊となって、祇園の神様の下に退散するに違いないと思います。
まずは、小武者組の提灯を掲げ、武者組の御神灯が続き、腕白顔の元気な顔も颯爽と凛々しいが、夜半8時頃に石段下に着く頃にはどんな表情になっているでしょう。
大人でも強行軍だと思いますが、鎧兜の幼子には精進修行かも知れません。
お迎え提灯は、子供が主役で、馬長稚児以外の鬼(児)武者に小町踊の少女、鷺踊、しゃぐまなど、稚児行列です。まさに神賑の行列なのですね。
四条大橋での神輿洗いの中御座神輿を迎える頃は夜の帳が下り、神輿が舞殿に飾られるのは午後10時を過ぎます。
10日の一日は長い一日です。そうして、神をお迎えするのです。
こうして祇園祭が始まっています。